• ヌヴェール愛徳修道会 目黒修道院

    • 単に機能的な寄宿舎ではなく修道者が社会奉仕の労苦を回復し霊性をより高める簡素さと美さをそなえた環境とし、高齢者ケアも可能な共同体の家として考えた。
    • 配置パターンは, 黙示録12-1「巨大な印が天に現れた。一人の女が太陽を着て月を足下に踏み、頭には12の星の冠をかぶっていた」を彷彿させる。
    • 狭隘道路に面するので道空間を半月形に膨らませ、外界を迎入れる型とした。周辺建物が近いのでプライバシーを確保する中庭を設け、周囲各室の通風も良くした。中庭は伝統的にも修道院の祈り・休息・散策の場として重要で、象徴的にも環境制御的にも大事な空間であり、視覚的心理的に修道院全体に一体感をつくる。
    • 構造は中庭を中心とする放射状壁式構造とした。全ての方向からの地震力に同等に対応出来る。外周や中庭側の開口面は構造から自由なので充分な採光と通風が可能となった。最もユニークな空間構成は、中庭に接した4つの半月型内部吹抜空間が中庭と一体化する空間である。中庭、吹抜け空間、それを巡るリング状の回廊、その外周に諸室という重層的空間構成は、日本の伝統的空間構成とも言える。
    • 中庭以外にこれといった庭が無いので、屋上庭園を考えて野菜園、花園と低灌木を植える。なるべく自然材を使い、壁天井の大部分、床や内部建具は木製とする。
  • レデンプトール初台教会

    山手通りの拡幅を機に建替えを行う修道院と教区教会のための計画である。 教会の存在を顕示するために、充分騒音対策を施した大聖堂を通りに面して配置し、祭壇上部に聖堂と一体の塔をもつものにした。修道院は修室等が南面すること、道路騒音を避けて聖堂等を静かな裏手に置くことを基本に考えた。また、教会と修道院が別個の独立した敷地に分割できるように、厳しい日影や高さの規制をクリアしつつ配置した。 大人数のミサや婚礼、葬儀での利用、多彩な信徒活動、高齢の司祭等への配慮から水平方向のつながりをバリアフリーで実現すること、教会棟と修道院棟が独立性を持ちながら結ばれること、聖堂は落ち着いた集いの場でかつ神聖な雰囲気にすること、建物の維持費用を抑えること等を計画課題と考え、それに応えた提案とした。 半地下階を駐車場にし、その上に設定したメインのレベルには、山手通りから巾広いゆるやかな階段でアプローチするようにし、その延長上にコンコースを配し自然に聖堂、小聖堂、ホールを置き、修道院棟との間にはクロイスター=回廊付き中庭を設けた。すべて聖堂は祭壇を扇形に囲む椅子の配置とし、トップライト、ハイサイドなどで自然光を採り入れ、神聖な雰囲気を創っている。 また、屋上緑化による断熱や、二重ガラスの窓、庇の工夫など、自然の力を素直に受け入れた環境づくりに努め、光熱費を節約する方策をたてた。
  • 援助マリア修道会C棟

    この建物は、修道院における日常治動の人数単位である、十数人の小コミュ二ティがかかわり会いながら生活する大きな家としての性格をもつ。コミュニティの中心を象徴するものとして、直径2.25mの円卓を据え、成員が建物内外へ出入りする場合には、必ずこの円卓の場を通り過ぎる動線計画とした。 外観においても大きな家という感じをもたせるため、建物全体のヴォリュームを分節して小さなスケールをもたせ、3つのヴォールト屋根でこれに対応させた。周囲が人家に囲まれているため、個室の前のバルコニーにはGRCによる格子グリルをもたせて心理的プライバシーを与えるとともに、デザイン的には軽快な感じを出した。
  • 久留米キリスト教会

    本計画は久神米教会の老朽化に伴う建て替えの設計競技案である。中心となる2階の会堂には180席を収容でき、30席の母子室や同時通訳・AV室が付属する。1階は小礼拝堂、集会室、管理諸室が配置される。 また,計画に際しては次の点を考慮した。 ・天空光の演出 入口の上を貫く光の筋がまっすぐに会堂の中心,説教壇.祭壇へ人を導く。 ・十字形の天窓 屋根の稜線の天窓。夜空から見たときに地上に刻印された光の十字架。 ・道からのアプローチ 会堂に上る階段がアプローチする道から見えて会衆が自然にそこへ導かれる。 ・天に向かう姿をもった教会堂 教会堂全体のイメージは天への憧れと向上の姿勢を表現する。 ・地域のランドマークとしての教会堂 鉄骨による三角錐の塔とその上の十字架が21世紀を画するこの地のランドマークとなる。 ・”神の幕屋をイメージした屋根の形 幕屋・テントは地上を旅する教会のシンボルとしてふさわしい。また,屋根はlm の深さの軒庇を建物の周囲にめぐらして 開口部や壁面を保護し,日射を調整する役割も果たす。 ・同心円上の会堂の座席配置 会衆の視線が自然に集まる焦点に説教壇、祭壇がある。洗礼槽はその下にある。聖餐の糧もそこに置かれる。そしてそこに 自然光が降り注ぐ。祭壇に向かう通路の上を光の筋が導く。
  • 寳生教東京本部教会

    伊勢神道系の神道教会である。神田川に面した狭い敷地に、教会の神殿・礼拝殿、集会施設、宮司の住居という複令した用途を5層の建物としてまとめ、かつ宗教建築らしい雰囲気とシンボリズムをどう表現ずるかが課題だった。 必要な空間量に対する、道路斜線、隣地斜線などの法的制約の厳しさにより、建物・のプロファイルを必然的に斜めの線で構成するものとした。当初から神社の鳥居をモチーフとする考えがあったが、この制約条件が手がかりとなって、神道と太陽信仰という点で共通するエジプトの神殿の塔門(パイロン)の形態が頭に浮かんだ。 神道の神社に特徴的な道行きの長さを建築的に確保するために、道路側建物入口から導入し、Uターンを二回するかたちで礼拝殿に至るようにした。また玄関を入ったすぐの所に屋内のせせらぎを設け五十鈴川のかたどりとした。神殿はその上部のトップライトから自然光を取り入れ、かつ両脇背後の縦スリット窓から外部の樹が見えるようにしており、自然の中の社殿の雰囲気を持たせた。 構造方式は、最も大きな空間である礼拝殿から神殿にかけて、建物の長手方向に大スパンを取る必要があるのと、その上にさらに二層の住宅を載せるために、フィーレンディールトラス群を長手方向に採用してきわめてユニークなものとなった。
  • 聖イグナチオ教会

    本プロジェクトは上智大学とも深い関係の聖イグナチオ教会の老朽化にともなう建て替え計画として、AURによってつくられた設計競技案である。 対象は主聖堂、中聖堂、小聖堂、納骨堂からなる祈りの空間、テレジアホール、大・中ホール、集会室他信者のコミュニティの場となる空間と、レンタルオフィスの大きく3つによって構成されている。 教会は普遍性をもつと同時に日本の文化や精神性を継承し育むものである。カトリック教会が常に持ってきた”天に向かい憧れ、地上にあまねく広がる姿”と、折り鶴のような直載さという日本的属性が垂直性と水平性を兼ね備えたおおらかなプロファイルのメタファーとして聖堂のデザインに結実している。
  • 女子聖学院礼拝堂・講堂棟

    この建物は礼拝堂であり、講堂でもある800席のホール空間と図書室、教員室、事務室の複会した建築であり、学院のシンポルとなり、かつ地域のランドマークとなる位置づけをされている。 祈りの空間としてのシンポリズムの造形を空間の垂直性と求心性とに求め、講壇上部の17.5m高さに吹き抜ける空間、壁側面の襞、縦長な柱による構成、ステップ状の高まりをもった同心円的な屋根構成等によってそれらを表現した。 またトップライト等の手法で、彩色された自然光を取り入れ、微妙な光の変化に伴う空間演出を図った。 建物の外観に凸形や三角形の形態を多用し、シンポル性を強調した。
  • 聖アンデレ教会信徒会館

    建物は都心に近い2,000坪ほどの教会敷地内にある。多様な用途をもつこのホールは、教会の建物の中で要の位置を占めている。 ホールの中心は信徒会室であり、この空間は平面的広さに対応した高い天井に交差する、ふたつのアーチで構成されている。道路に平行な軸をもつ格子状の構造と、東西軸に平行な信徒会室の構造との間に局面の壁を貫入させることによって、空間の構成により変化をもたせることを意図した。これによって聖堂に比べてインフォーマルな活動の多い信徒会館にふさわしい、柔軟性のある空間が生み出された。 軒庇の深いところでは木製サッシュを使用し、コンクリートの打放しのテクスチャーと組み合わせている。
  • 五井カトリック教会

    市原市は東京湾に面した臨海工業地帯の一部である。教会は区画整理の進められている市内の新興住宅地に建てられた。 建物は聖堂部分と司祭・信徒会館部分とから成り、それを共通のホールで結んでいる。キャノピーを道路より直角に導入し、180度折り返して祭壇へ向かう動線をつくることによって、宗教的な場へ近づいていく心理的プロセスを確保した。また聖堂内部では、打放しコンクリートと、祭壇の上を斜めに走るダイナミックなトップライトとによって祈りの空間を演出した。 開かれた教会のイメージを実体化するものとして、聖堂前面には塔のある小広場が設けられている。
  • 援助マリア会福山修道院聖堂

    この小聖堂は、援助マリア修道院に隣接した修道院全体の祈りの場である。聖堂の上半分はRCによる西欧的空間の要素に支配され、下半分は円柱を除く木の素材により日本的水平流動型の空間が意識される。総体的な空間体験として、日本的であり西欧的でもある複合的なものを目ざした。 聖堂の本体は障子で囲まれており、これを取り外すことによって200~300人の礼拝が可能になる。祭壇には上部からトップライトで自然光が入り、石庭から回り込んでいる壁下の白い玉砂利に反映して、透明感と奥行きをつくり出している。祭壇と壁の間には格子のスクリーンが立ち、その背後に木製の十字架が自立してある。十字架の中央部は格子に開けられた雲型の穴から直接に見えるようにし、日本の心の表現を求めた。
  • 聖アンセルモ祈りの家

    この建物は、東京、目黒にある聖アンセルモ修道院の別館として計画された。1階部分に教会の事務、集会のための機能をもち、2、3階は日本人修道士養成のための宿泊・研修の機能とし、さらに地下に納骨堂将来計画するスペースが準備されている。 1階部分は開かれた修道院として内部と外部の相互貫入をはかるように、道路側にベンチを置き、また内部のベンチコーナーがガラスの箱として突き出している。 2階、3階の修道院部分は内・外共に全体的に日本の伝統的な空間構成である格子、縁、障子等のボキャブラリーを利用して”日本における修道の空間”が模索された。
  • 聖コロンバン会本部

    アイルランドに本拠をもつ聖コロンバン会の日本の本部であるこの建物は、 日本における宣教活動の中枢であると同時に、神父たちの赴任までの一時期や、各地での宣教活動の節目に上京した時の住まいとして憩いと安らぎを得る家庭的な場である。 建物のいくつかの機能的空間(宗教的礼拝と黙想の空間としての小聖堂から夕べの語らいと食事をする家庭的な小食堂、個室群)を空間的にひとつにまとめるものは、中庭とそれをとり囲む回廊であり、また回廊が内部に貫入され南北に建物を貫く2層分の吹抜けをもったコリドールである。